グループタイポ

グループ・タイポ

写真左:桑山弥三郎
写真右:伊藤勝一

1959年、武蔵野美術学校の同級生であった桑山弥三郎、伊藤勝一、林隆男、長田克巳で結成。

学生時代よりデザイン開発していた「タイポス」が、写研との契約により1969年写植文字盤として発売されると、デザイン書体の先駆けとして一世を風靡した。

1974年に有限会社に改組。林隆男没後は、タイプバンクの代表取締役となった林久美子が参画している。

2007年、桑山・伊藤のディレクションにより、彼等が40年前に書きためていたタイポス漢字書体の原字をタイプバンクがデジタルデータ化。

2008年より「漢字タイポス」として5書体ファミリーのOpenTypeフォントを発売し、グラフィックデザイン界の話題をさらっている。

グループタイポ

対談:グループ・タイポメンバー桑山弥三郎氏・伊藤勝一氏
聞き手:タイプバンク

デザイナーが文字をつくるということ

「当時はデザイナーが書体を作っていたわけではなくて伝統的に職人が作ってきたんだよね、そこで私たちがやろうと。」

「なんていうか新しい書体を作ろうと思ったんだよね。」

「最初は3書体作ったじゃない?明朝体、ゴシック体、その中間。」

「頭にあったのは明朝なんだけど、明朝体っていうのはさ、漢字はデザインされてる感じでしょ?でも仮名ってさ、毛筆体というか筆の質が残っているというか。」

「それをもうちょっと統一できないかって。素人考えなんだけどね、そう思って漢字のイメージと統一したデザインを作りだしたわけで。」

「だけど...何年かして漢字とひらがなが似てるっていうのは読みづら いっていうのが分かったわけ。(笑)一個一個作っているとそんなに気 にならないわけ、でも組んでみるとね。特にカタカナと漢字、区別つかないね。漢数字の二とカタカナのニとか。結局そういう問題も出てきた の、で、似すぎるのはやめたの(笑)だからその当時はゆくゆくは漢字 は作らなきゃとは思っていたけど、膨大すぎてとてもやれっこないって 事で見本だけ示して既成の漢字と組む仮名を作った。それでも結構これ までのものとは表情が変わって見えたんだよね。」

TB「仮名に違和感を感じたということですか?」

「そうそうそう!」

「デザイン的に見たって欧文の大文字と小文字だってルールが一緒 じゃん?だから日本語も漢字と仮名が一緒にならないかって思ったけど 読みにくいんだなぁ(笑)」

「これまでの仮名には書体の区別がない。だから新しいデザインをしようと思ったんだよね。だから漢字に合わせて仮名を新しくしようと。」

TB「というと読みやすい読みにくいというより紙面が見た目に均整のと れたものを作ろうと思ったということですかね?」

「そうだねぇ。」

「デザインの勉強をする時に海外の作品とか見てて、欧文がでかでかと字を使うのが目立ってたわけ、で日本語でそれやろうとすると変な物 になるんだよ。で、やっぱりかっこ良くしなきゃってな。まぁビジュアル的にきちっとしたいいカタチにしたかった。なにやっても良い時代でしょ?他に書体が無いんだから。今だったら書体だらけで隙間じゃなきゃやる意味ないっていうか。その時は隙間しかないっていうか(笑) 自由に作れたわけで。自由だから焦点をしぼりにくいってところもあったけどね、それで三書体に決まってきたわけだ。」

日本語のタイポグラフィをかっこよくしたい

TB「そもそもタイポグラフィに興味を持ったきっかけって?」

「タイポグラフィって言葉も無い時代だったけどな。」

「文字が好きだったんだよ。」

TB「美大での授業がきっかけですか?」

「私の場合はその前からかな。タイポグラフィをやりたいと思ってい たんだけど、使ってみたいという書体が無かったんだよね。だから書体作りから始めようって。」

「英語で作ればかっこ良くなる事は分かってるんだけどね?日本語でやるとかっこわるくなるんだよね。」

TB「畑を耕すところから始めたって感じですかね?」

「そうそう!だからこれから本当にいいタイポグラフィをつくりたいって思ったんだよね。」

そして漢字へと

TB「仮名をデザインした時は学生で、漢字は社会人になってからなんですよね?」

「そうそう、だからある程度完成というか未完成なんだよね。しょっちゅう新書体作ろうって話は出てたけど結局タイポスになっちゃうんだよね。」

「写研から文字盤を売り出してその印税をメンバーで分けずに貯めていったんですよ、漢字の作成の為に。制作は外部に出そうと思って。鴨野という私の事務所から独立した者に任せようと。我々はチェックする為に箱根に行って合宿して。」

TB「鴨野さんが実作業を行うわけですけど、見本はお二人で制作したのですか?」

「そうそうそう。方向をね。そしてチェックして。」

「だいたいルールは決まってるからね。明朝体の横線をちょっと太くして、ウロコを取ってる分スペースの調整は必要だけど、だいたいそんな感じだからね、だから出来上がってきたものをチェックすればいいわけだ。」

「彼は写研のコンペで1等を取ってるんだよね。」

「俺たちは取れなかったのを取ったんだよな。」

TB「安心して仕事を任せられた訳ですね。」

「桑さんの弟子だから同じ様なもんだろ?それに弟子が変な物を作っ たらって思ったら厳しくチェックするだろ?笑」

(笑)

「当然目が肥えてくるから、またその当時気がつかなかった部分も見 えてくるけどね。要するに常識的な事が身に付いてきて変に実験したとこが気になってきたりする。」

「チェックは四人で。林さんは厳しかったよ。細かいところとかよく 気がついたよ。写植の世界にいたから普通の文字っていうのがどういうものなのか身に付いてたんだよね、こちらはそんなにいろんな文字なんて見た事なかったからさ。」

「ただ、タイポスは既存の明朝やゴシックの漢字と組んでいたのでそんなに急いで漢字を作ろうとは思わなかったんだよね。」

「仮名を良くする方が先だと思ったんだよね。」

「必要な文字も思ったよりどんどん増えていったし...今回世に出すにあたっては、タイプバンクにやってもらって助かったよ。」

TB「今回私たちが制作したものをお二人にチェックしていただきましたが、お二人とも傾向がありましたね。桑山さんは文字の大きさや位置関係、伊藤さんは文字の黒みに関する部分が多かったですね。」

「みんな見るところが違うからいいんだよね。」

「また違う人が見れば違うところが気になる (笑)」

タイポスが使われるシーン

TB「タイポスの使われ方って考えながらつくりましたか?」

「まず横組は意識したかな。あんまり縦組の事は考えなかった。でも実際に世の中には縦組の方が多かった。」

TB「制作にあたって大きくデザイン変更をしたことは?」

「ほとんどしなかったかな?若干やったけど。」

「元々日本語って縦組なんだけど規則正しくしようとすると難しいん だよね。中心通ってないのが多い。ぐにゃっとまがるからバランスとれてるからそれをまっすぐにするとかっこわるいわけ。」

「横組想定して作ったけど実際に使われるのは縦組が多い、そこは ちょっと想定外だったね。伊藤さんは広告とかの仕事で使ってたよね。」

「実際使ってみて本文組になると一字一字見ないなっていうのは分かったよ、かたまりで見るというか。だからそれで見てぱっときれいにみえるからいいのかなって思ったけど。」

TB「ご自分では沢山使ったのですか?」

「全部ってわけにはいかないな。」

「私は全部使いましたよ(笑)」

「これは向いてるなって思うものには。やっぱり内容がクライアント によって違うからな。タイポスはちょっと軽いイメージなのかな、ねっとりした感じはないからね。」

「そうそう、さわやかなイメージね。」

TB「こう使われたら嬉しいとかってあります?」

「前にも言った事があると思うんだけど、小説とか作家によって書体を使い分けたりとかそういうことをしたほうが良いと思うんですよ、これっていう限定はないんだけど、さわやかさとか純粋さとか清さとかそういうイメージのものに合うと思うからそういった感じのものかな。」

「新聞でいうと社会面とかには向かないけど、家庭面とかには良さそうだろ?だからいろんな書体があっていいと思うんだよね、無きゃいけないと思うんだよ。」

TB「私はタイポスで組まれた絵本で育ちました。」

「もっと早く生まれてたら制作手伝ってもらえたのにね(笑)」

タイプデザイナー紹介
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